---p12 (スライド1) 2022.2.9東京大学バリアフリーシンポジウム 東京大学バリアフリー支援室概要 東京大学バリアフリー支援室 切原 賢治(きりはら けんじ) (スライド2) 1.障害者差別解消法と東京大学憲章 (スライド3) 高等教育機関における障害学生数の推移 〔グラフの説明〕 高等教育機関の障害学生数と障害の種類ごとの内訳の推移を示す複合グラフ。 障害学生数と内訳が積み上げ棒グラフ、障害学生在籍率が折れ線グラフで示されている。 横軸は年度、縦軸は左側縦軸が人数で0人から4万人まで5千人刻み、右側縦軸が障害学生在籍率で 0.0から1.2パーセントまで 0.2パーセント刻み。 障害の種類は 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 病弱・虚弱 重複 発達障害 精神障害 その他の障害。 年度ごと、障害種別ごとの数値は省略する。 日本学生支援機構「大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査」 引用元:https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_syugaku/index.html 〔グラフ終わり〕 平成18年4,937人から令和2年35,341人に増加(平成27年度から精神障害も含む) 障害者差別解消法の施行前年から増加(支援を申し出る学生の増加、大学の支援体制が進み進学者の増加、特別支援学校が大学進学も視野など) (スライド4) 障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)概要 H28.4.1施行 障害者基本法第4条 基本原則 差別の禁止 第1項:障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止  何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 第2項:社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止  社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 第3項:国による啓発・知識の普及を図るための取組  国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 I.差別を解消するための措置 不当な差別的取扱いの禁止  国・地方公共団体等、事業者→法的義務 合理的配慮の提供  国・地方公共団体等→法的義務 事業者→努力義務 具体的な対応 (1)政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針を策定(閣議決定) (2)国・地方公共団体等→当該機関における取組に関する対応要領を策定(※地方の策定は努力義務) 事業者→主務大臣が事業分野別の対応指針(ガイドライン)を策定  実効性の確保 ●主務大臣による民間事業者に対する報告徴収、助言、指導、勧告 II.差別を解消するための支援措置 相談・紛争解決 ●相談・紛争解決の体制整備→既存の相談・紛争解決の制度の活用、充実 地域における連携 ●障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携 啓発活動 ●普及・啓発活動の実施 情報収集等 ●国内外における差別及び差別の解消に向けた取組に関わる情報の収集、整理及び提供 内閣府ウェブサイトから引用し、発表者が一部改変 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/law_h25-65_gaiyo.pdf (スライド5) 障害者差別解消法における用語の定義 1.対象となる「障害者」とは? 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、〔下線始まり〕障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態〔下線終わり〕にあるものをいう。 →障害者手帳所持の有無には関わらない。 2.社会的障壁とは? 機能障害のある人の社会参加を阻む、周囲の態度や環境による障壁 (機能障害のある人も、平等に参加することを想定して作られていない) (スライド6) 障害者差別解消法:差別を解消するための措置 1.不当な差別的取扱いの禁止 教職員は、教育・研究その他、本学が行う事務又は事業において、障害者に対して、不当な差別的取扱いをしてはならない。 2.合理的配慮の提供 教職員は、教育・研究その他、本学が行う事務又は事業において、障害者から配慮を必要としている旨の意思の表明があった場合、合理的配慮を提供しなければならない。 ---p13 (スライド7) 合理的配慮の考え方:三要件 (1) 特定の場合における必要性 特定の障害及び特定の状況により支障が生じており、特定の配慮により〔下線始まり〕支障の改善が想定される。〔下線終わり〕 (2) 公正な機会均等のための適当性 配慮に当たって、教育・研究その他本学が行う〔下線始まり〕事務又は事業の本質を変更しない。〔下線終わり〕 (3) 非過重な負担 配慮に当たって、〔下線始まり〕物理的・技術的負担、人的・体制上の負担及び費用負担の程度が、〔下線終わり〕本学の事務又は事業の規模及び財政・財務状況を踏まえて〔下線始まり〕妥当である。〔下線終わり〕 教職員は、配慮が合理的ではないと判断した時は、障害者にその理由を説明し、代替手段を提示しながら理解を得るよう努めることが望ましい。 (スライド8) 東京大学憲章 17 (教育・研究環境の整備) 東京大学は、教育・研究活動の発展と変化に柔軟に対応しつつ、常に全学的な視点から、教育・研究活動を促進し、構成員の福利を充実するために、各キャンパスの土地利用と施設整備を図る。また、心身の健康支援、〔下線始まり〕バリアフリーのための人的・物的支援〔下線終わり〕、安全・衛生の確保、ならびに環境および景観の保全など、構成員のために教育・研究環境の整備を行うとともに、地域社会の一員としての守るべき責務を果たす。 東京大学では、障害者差別解消法(2016)と、東京大学憲章(2003)の理念のもと障害学生・教職員支援を行っています。 (スライド9) 2.東京大学における支援 (スライド10) 東京大学バリアフリー支援室の沿革と概要 【沿革】 2002年10月 バリアフリー支援準備室開設 2004年4月 バリアフリー支援室開設(駒場2キャンパス) 2006年4月 バリアフリー支援室本郷支所開設(本郷キャンパス)  2007年4月 駒場支所移転(駒場1キャンパス) 2016年11月 本郷支所柏分室開設(柏地区キャンパス) 【スタッフ】 10名(専任教員2名、支援コーディネーター4名、事務職員4名) 【支援室員】 室長 : 熊谷 晋一郎(先端科学技術研究センター准教授)、その他教職員(学内有識者、関係部課長等)含め、計30数名で構成 室の運営の中核を担う室員に、障害当事者が複数名在籍していることが、東京大学の支援の大きな特徴です。 (スライド11) 東京大学におけるバリアフリー支援体制について 〇各部局に配置されている支援実施担当者が、支援の窓口となります 〇バリアフリー支援室には専門知識を持つスタッフが常駐し、障害のある学生・教職員や、支援実施担当者の相談に応じます  〇また、バリアフリーに関する全学的な理解、啓発も進めています。 〔左側に、バリアフリー支援室の支援体制を示す「支援の三角形」の図あり。図の説明〕 3つの頂点の上側に「部局、人的・物的サポート」、左下側に「本部、財政的措置」、右下側に「バリアフリー支援室、ノウハウの提供」が配置されていて、各頂点から三角形内部の「障害のある学生・教職員」に矢印が向かっている。図の下に以下の記述あり。 部局が人的・物的支援の主体となり、大学本部が財政措置を担い、バリアフリー支援室が専門的ノウハウの提供を担うという協力体制をとっています。 〔図終わり〕 (スライド12) バリアフリー支援室の活動(1) 〇障害のある学生・教職員への支援のコーディネート 障害のある学生・教職員が所属する学部・研究科等の担当者と共に 個々の支援ニーズの把握に努め、支援ノウハウの提供を行います。 〇サポートスタッフの募集・養成講座・スキルアップ研修の実施 授業や学生生活の様々な場面で障害のある学生を支援する「学生・サポートスタッフ」を随時募集し、支援に必要な各種スキルを身につけるための講座・研修を行っています。 〇「バリアフリー支援連絡会議」「バリアフリー支援研修会」「学生とのバリアフリー意見交換会」「障害のある教職員との意見交換会」等の開催 バリアフリーに関する各種会議や教職員向けの研修を主催する他、毎年室員が障害のある学生・教職員から直接意見を聞く意見交換会等を開催しています。 ---p14 (スライド13) バリアフリー支援室の活動(2) 〇バリアフリーに関する啓発 昼休みに手話で交流する「手話でしゃべランチ」やバリアフリー講習会などを開催し、バリアフリーに関する啓発を進めています。 〇支援機器の貸出 必要に応じ、各種支援機器の貸出を行います。 〇施設のバリアフリーチェック 学内のバリアフリー状況を調査し、関係者と協議して改善をします。 平成24年度からは、学内に在籍する障害のある学生・教職員やサポートスタッフの協力も得ながら本郷地区・駒場地区・柏地区・白金台のキャンパス内を調査し、本学を利用するすべての人が安心してキャンパス内を移動できるような「バリアフリーマップ」の作成に取り組んでいます。 (スライド14) 障害のある学生への支援例 【共通の支援例】 支援に関する相談 授業担当教員との連絡・調整 定期試験時に配慮すべき事項の調整 進学先部局との引継面談 支援機器に関する情報提供、支援機器の貸出 学内施設の改善、学生宿舎のバリアフリー化への対応 (スライド15) 障害のある学生への支援例  【視覚障害のある学生】 ・教科書や資料の電子データ化(音声読み上げ)や文字拡大 ・代筆、代読 【聴覚障害のある学生】 ・パソコンテイク、ノートテイク ・映像教材の字幕挿入 ・補聴援助システムの貸出 【肢体不自由のある学生】 ・教室アクセスの確保 ・ノート作成・代筆 ・教科書や資料の電子データ化 【内部障害・慢性疾患のある学生】 ・実技のない身体運動科目の履修 ・専用駐車場の確保 ・優先席の設置 【発達障害のある学生】 ・視覚または聴覚提示の調整 ・教示方法の調整 ・コミュニケーションの補助 【精神障害のある学生】 ・授業時の退室、再入室の許可 ・情報保障 ・身体機能の障害に準じた配慮 (スライド16) バリアフリー支援室所在地・連絡先 【本郷支所】(本郷キャンパス) 学生支援センターモール階 (御殿下記念館北側) 電 話:03-5841-1715  FAX:03-5841-1717 〔写真あり:安田講堂側から見た学生支援センター〕 【駒場支所】(駒場1キャンパス) 教養学部8号館111号室 電 話:03-5465-8944 FAX:03-5465-8952 〔写真あり:バリアフリー支援室駒場支所の外観〕 【本郷支所柏分室】(柏地区キャンパス) 新領域基盤棟2階2B5号室 電 話:04-7136-5574 〔写真あり:バリアフリー支援室柏分室の看板〕 支援室URL  http://ds.adm.u-tokyo.ac.jp/ ---end