---p23 (スライド1) 2021年度東京大学バリアフリーシンポジウム 高等教育における「繋がる」支援ー谷間のない支援を目指して 障害のある留学生への支援 大西晶子(おおにし あきこ) (相談支援研究開発センターグローバルキャンパス推進本部) (スライド2) 日本で学ぶ留学生 〔グラフの説明〕 留学生の出身地域を表す円グラフ。 右回りに、出身地域、割合を示す。 1)アジア 93.6パーセント 2)欧州 3.3パーセント 3)北米 1.1パーセント 4)アフリカ 0.7パーセント 5)中南米 0.6パーセント 6)中東 0.4パーセント 7)大洋州 0.2パーセント 日本学生支援機構 2019「2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査結果」 https://www.studyinjapan.go.jp/ja/statistics/zaiseki/index.html 〔グラフ終わり〕 2019年度の留学生数は312,214人 (2020年、2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響) 日本の留学生の9割以上は「アジア」出身 東京大学の場合 〇大学院生、アジア出身者が9割弱 〇学習・研究を英語で行う学生が多い 〇交換留学生・ダブルディグリープログラム等、所属機関を海外に持つ学生も近年増加 〇海外在住のままオンラインで学ぶ学生への対応は新たな課題 (スライド3) 障害者の権利とは?合理的配慮とは? 障害者の権利に関する条約 〔図の説明〕 大きな灰色の円内に「A国」を示す青線の円、さらに内側に「日本」を示す3重線の円がある。 3つの円に一部重なる形で「B国」を示す青い点線の円がある。 〔図終わり〕 〇国連の条約(日本は2014年に批准) 〇国内法の有無、内容、範囲等 〇「合理的配慮」概念〔注 「合理的」に下線強調〕 国・地域によって一様ではない〔注 下線強調〕 批准国一覧 https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_002110.html 各国法 参考) 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国内外の障害者差別禁止法・条例・手話言語条例 https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/law/anti/index_overseas.html (スライド4) システムを超えて移動を行う障害を持つ留学生の支援 〔図の説明〕 左から右へ階段状(下り)に伸びる太い矢印がある。 矢印左から「大学生活開始前」、一段下がって「大学(院)生活」、もう一段下がって「卒業・修了後」。それぞれの間に(矢印が一直線に繋がらず、支援が途切れる様を表す)放射状の図形が示されている。 〔図終わり〕 〇「高大」「学部から院」「社会」への接続など、支援の継続性の課題 〇留学前の居住国で、支援を受けていない学生は、留学後の支援の「開始」と卒業後の「継続」が課題 (スライド5) 支援において生じる具体的な留意点 来日前の経験の相違や留学形態の相違によって 〇入学時点で学生に関して得られる情報の格差 〇本人・周囲の障害特性/権利・受けられる支援等に関する理解度に格差 〇援助要請・配慮要請の行動に影響 〇可視的ではない障害は、特に差が生じやすい(例.発達障害) 大学の支援の位置づけと留学生のニーズ 〇到着初日から必要な生活面の支援への対応 〇福祉サービスを活用するための支援が必要 〇ことばの問題 〇サポートシステムの短期間での再構築の困難さ 日本の大学と本人(本人のホーム大学)の認識・期待の差 (スライド6) ポイント:学生を取り巻くサポートシステムをつなぐ 〇特に交換留学生は、谷間の問題が見えやすい 〇家族等の力を得られない留学生には、仕組みとしてのサポートが必須 〔図の説明〕 左側に車いすの学生を囲むように円があり、「来日前の居住国におけるサポートシステム」として、以下の3つが示されている。 〇福祉サービス 〇学生のホーム大学による支援 〇家族・友人・その他社会的援助資源 その円から右側の円「日本におけるサポートシステムの構築」に向かう太い矢印、 その矢印上に人(日本の大学の受け入れ担当者)が立っている。 〔図終わり〕 ---p24 (スライド7) ポイント:取り組み:学修の場と生活の場をつなぐ 例:大学寮に住み、地下鉄に乗って大学に通う車椅子の(日本語を話さない)留学生 〔図の説明〕 外側に「留学生活」を示す円があり、その内側に「学生生活」と「日常生活」を示す円がある。この2つの円は一部重なっている。 〔図終わり〕 〇福祉サービスは、住民登録をした人が対象 〇半年しか日本に滞在しない人、日本語の読解力を有さない人、知人等の社会的援助資源を有さない人を想定していない→大学は? (スライド8) ポイント:交差する領域のニーズへの対応 〇「学生の属性」「カテゴリー」で学生サービスを分類すると、交差する領域の支援の拡充は困難 〇「所掌」や「コンプライアンス」起点で考えると、「障害を持つ」「留学生」の支援ニーズの多くは谷間に落ち込む 〇連携・協働による支援の重要性 (スライド9) 留学生の支援における留意点(まとめ) 〇学生の多様な理解・期待を踏まえた情報発信・働きかけ 〇来日前後の支援の継続性 〇学生の卒業後、留学後にもつながる支援 〇生活全体を支える支援 〇関係者をつなぐ支援 〇意識・認識の谷間を狭める働きかけ 〇狭い意味での「コンプライアンス」を超えた支援 ---end