-----ps つながるバリアフリーのために ─構内事例から考える─ UTokyo|IncluDE バリアフリー推進オフィス Office for Disability Equity -----p1 目次 T. 背景 1. はじめに 2 2. ユーザー視点のバリアフリー工事 5 3. 汎用性と個別性 8 U. 具体的な整備事例 1. 汎用性に関する整備事例 9 @構外から構内への連続性 10 A構内移動経路 12 B建物出入口 17 C建物内部 21 2. 個別性に関する整備事例 32 3. 人的なバリアとバリアフリー 35 4. 「つながるバリアフリー」 38 巻末資料 建物バリアフリー要望リスト 39 凡例 ((オレンジの右矢印)) 改善例 構内で実施された工事の一例を紹介する ((青の右矢印)) 改善案 一案を紹介する -----p2 T 背景 1. はじめに  東京大学憲章「第17条」では「…常に全学的な視点から教育・研究活動を促進し、構成員の福利を充実するために、…((アンダーラインここから))バリアフリーのための人的・物的支援((アンダーラインここまで))…など、((アンダーラインここから))教育・研究環境の整備((アンダーラインここまで))を行う…」とうたっている。この東京大学憲章に則った大学キャンパスの実現のためには、誰もが利用できる施設の整備を進めることも必要である。  東京大学では、建物のバリアフリー工事について本部施設部・各部局の努力が積み上げられているところであるが、総合大学であるがゆえに全体での情報共有が困難な面もある。そこで、バリアフリー推進オフィスに寄せられる障害のある構成員の意見を基に行われてきたバリアフリー工事や改善案を紹介することが、バリアフリー工事に関わる者の情報共有の一助になるのではと考えた。本部施設部・各部局の努力を、点から線へ、そして面や空間へと広げることが、キャンパス全体のバリアフリー化につながる。  障害のある学生や教職員を含む、多様な構成員の誰もが利用できる大学キャンパス整備について、多くの方に考えていただくことを望んでいる。 「東京大学憲章」 (前文) 東京大学は、((アンダーラインここから))構成員の多様性が本質的に重要な意味((アンダーラインここまで))をもつことを認識し、すべての構成員が国籍、性別、年齢、言語、宗教、政治上その他の意見、出身、財産、門地その他の地位、婚姻上の地位、家庭における地位、障害、疾患、経歴等の事由によって差別されることのないことを保障し、広く大学の活動に参画する機会をもつことができるように努める。 17 (教育・研究環境の整備) 東京大学は、教育・研究活動の発展と変化に柔軟に対応しつつ、常に全学的な視点から、教育・研究活動を促進し、構成員の福利を充実するために、各キャンパスの土地利用と施設整備を図る。また、心身の健康支援、((アンダーラインここから))バリアフリーのための人的・物的支援((アンダーラインここまで))、安全・衛生の確保、ならびに環境および景観の保全など、構成員のために((アンダーラインここから))教育・研究環境の整備((アンダーラインここまで))を行うとともに、地域社会の一員としての守るべき責務を果たす。 19 (基本的人権の尊重) 東京大学は、基本的人権を尊重し、国籍、信条、性別、障害、門地等の事由による不当な差別と抑圧を排除するとともに、すべての構成員がその個性と能力を十全に発揮しうるよう、公正な教育・研究・労働環境の整備を図る。東京大学は、男女が均等に大学運営の責任を担う共同参画の実現を図る。 -----p3 「東京大学 ダイバーシティ&インクルージョン宣言」 1. ダイバーシティ(多様性)の尊重 東京大学が基本的人権を尊重し、学術における卓越を実現するためには、多様な構成員によるたゆまぬ対話の実践が不可欠です。東京大学は、すべての構成員が人種、民族、国籍、性別、性自認、性的指向、年齢、言語、宗教、信条、政治上その他の意見、出身、財産、門地その他の地位、婚姻の状況、家族関係、ライフスタイル、障害、疾患、経歴等の事由によって差別されることのないことを保障します。 2. インクルージョン(包摂性)の推進 東京大学は、インクルージョンの精神を尊び、大学のすべての活動において、構成員の多様な視点が反映されるように努めます。多様な構成員が、意思決定プロセスを含む東京大学のあらゆる活動において、様々な属性や背景を理由に不当に排除されることなく参画の機会を有することを保障します。そして、東京大学の構成員のみならず、一緒に活動するすべての方々が尊重され、また、その方々に、この宣言の考え方を共有するコミュニティの一員であるとの意識を抱いてもらえるよう努めます。 「東京大学におけるバリアフリーの推進に関する指針」 (前文) 東京大学は、東京大学憲章で、((アンダーラインここから))構成員の多様性((アンダーラインここまで))が本質的な意味をもつことを認識し、((アンダーラインここから))障害の有無を含めた多様な構成員が差別されることなく、その能力を十分に発揮し、広く大学の活動に参画できるキャンパスの構築((アンダーラインここまで))に向けて努力することを誓っている。 障害のある者を取り巻く環境には、物理的、社会的、制度的、心理的などのさまざまなバリア(障壁)が存在する。バリアフリーとは、障害のある者も含めすべての人にとって社会生活の中に存在するあらゆるバリアを取り除くことを意味する。 障害者基本法その他法令の定めるところにより、また((アンダーラインここから))東京大学憲章の精神に則り、ここに、東京大学全ての構成員が協力し合い、さらなる全学的なバリアフリーを推進((アンダーラインここまで))するため、この指針を制定する。 (環境の整備) 第8条 本学は、建物の新設及び改修並びに情報システムの構築その他の学内環境を整備するにあたっては、多様な人々の利用に配慮した計画、設計及び調達を行うよう努める。 -----p4 「東京大学多様性包摂共創センター規則」 (目的) 第2条 センターは、学内共同教育研究施設として、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(以下「DEI」という。)を推進するため、インクルーシブな社会の実現を目指す需要に応え、当事者の主導による研究の中核を担い、研究成果を教育に還元する教育プログラムの開発及び提供を行うとともに、研究成果を反映した全学的なジェンダー・エクイティ及び((アンダーラインここから))バリアフリー等に関する環境の整備及び支援体制等の強化を推進((アンダーラインここまで))することを目的とする。 構成員の多様性とは 構成員とは、年齢、性別、能力等を問わず、障害のある学生や教職員を含む。 障害の種類、程度は個人差があるため、困りごとや困り方も一人ひとり異なる。多様性を理解した上でのバリアフリーをめざす。 東京大学のバリアの現状  バリアフリーという考え方のなかった時代に建てられた建物を継続使用しているため、誰もが使いやすいとは言いがたい建物がある。  これに加え、本郷キャンパスは高低差のある立地のため、講義室を移動したり、図書館や食堂を利用したりするために建物間を移動する際に生じるバリアについても考える必要がある。 東京大学の特徴 ○歴史的建造物を多数有し、継続使用している。 - 構造的にエレベーターやスロープ等の設置ができない建物がある。 - 後付けの場合は景観も含めて設置場所の検討が必要となる。 ○本郷キャンパスは高低差のある立地である。 -----p5 2. ユーザー視点のバリアフリー工事  誰もが使いやすい建物環境を整えるため、あるいは障害のある学生の入学・進学・復学や障害のある教職員の就業・復職に備える施設改修を行う場合、どのようなプロセスを経てバリアフリー工事が実施されるのが望ましいのだろうか。最初にバリアフリー化の課題を把握し、@利用者が何を求めているのかを正しく知る、Aそれがどのような状況から生じているのかを確認することからスタートする。次にPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のサイクルが一周した後に、再度バリアフリー化の課題を把握し、次のサイクルに繋げ、スパイラルアップさせて、継続的に改善させることが望ましい。 バリアフリー工事のPDCAサイクル ((バリアフリー工事のPDCAサイクルの図があり、図は円を4分割しPDCAがそれぞれ割り当てられており、PからD、DからC、CからA、AからPに矢印が延び、1周の円になっている)) Plan計画 1)ユニバーサルデザインの観点 2)利用者のニーズ 3)用途 4)計画の段階でバリアフリー化の課題を十分に把握し、解決するための整備目標を設定する。 Do実行 1)整備目標を反映した設計を行う。解決案では不明確だった課題が、設計図面になった段階で明らかになることがある。 2)設計図面に沿って工事を行う。設計図面では不明確だった課題が、実物になった段階で明らかになることがある。 3)完成を待たずに、修正が可能な中途段階でも必要に応じて評価・改善することが望ましい。 Check評価 1)バリアフリー化の課題が十分に解決されたのか、利用者の利用状況を確認し、事後点検を行う。 2)バリアフリー化の課題が十分に解決されたのか、整備目標に沿った施設が完成したか確認し、事後点検を行う。 Act改善 1)施設改善のPDCA 整備目標に照らして解決されていない課題に基づいて、再度、計画の段階に戻る。 2)施設改善以外の代替え案 施設改善以外の方法(人的支援等)で、バリアフリー化の課題を解決する方法を検討する。 @整備計画  東京大学のキャンパス計画は、「東京大学キャンパス計画大綱(平成26年3月27日役員会議決)」に基づき行われている。キャンパスごと(本郷地区、駒場地区、柏地区キャンパス)に「キャンパス計画要綱」が定められ、この内容を実現するための手続きや体制は「キャンパス計画要綱の運用指針」に規定されている。キャンパス計画室ではこの規定に沿って、確認(審議)を行っている。  バリアフリー推進オフィス施設改善検討部会は、多様な人々から寄せられた意見について、検討・ -----p6 整理した上で、対応が必要な困難あるいは配慮を本部施設部・各部局に提案する。 (計画) 整備計画に沿ったバリアフリー化のための既存施設の改修については、本部施設部・各部局が計画し、バリアフリー推進オフィスは利用者の意見を提示する。 (実行) ユニバーサルデザインの観点と特定の利用者のニーズを反映した適切な整備目標を関係者(キャンパス計画室、本部施設部・各部局、バリアフリー推進オフィス、設計者、施工業者、利用者)が共有し、実行(設計、工事)に進む。設計・工事は本部施設部・各部局が実行し、利用者の意見はバリアフリー推進オフィスが継続的に提示する。 (評価) 事後点検については設計者・施工業者・利用者の確認を行う。 (改善) 更に施設改善が必要と判断された場合、計画の段階に戻り、再度PDCAサイクルを開始する。 施設改善以外の代替え案を実施する場合、バリアフリー推進オフィスも含めた対応を検討する。 A新築・改修  新築の場合には、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」及び自治体の条例に基づいて、最低限のバリアフリー化は実現される。更に、施設の用途に基づき、実効性のあるバリアフリー化が実現できるように計画の段階から調整を行う。改修の場合も、基本的には新築と同じ水準のバリアフリーが確保されることが望ましいが、バリアフリーという考え方のなかった時代に造られた建物を継続使用するための改修は、構造的にバリアフリー設備を設置することが困難であること、施設を継続使用しながら工事をするため制約がある場合が多く、より柔軟な対応が求められる。  新築・改修の対象になる施設の用途の概要が決定した時点で、本部施設部・各部局がバリアフリー化について計画し、バリアフリー推進オフィスが障害のある利用者にヒアリングを行う。用途によって異なるが、多数の障害のある利用者が想定される場合には、予めヒアリングに要する期間を踏まえて、工期を設定する必要がある。キャンパス計画室は整備計画との調和を行い、最終的に案を承認する。  設計・工事以降は、@と同様である。 B合理的配慮  既存施設の利用にあたって特定の障害のある利用者に関して、個別にバリアフリーに関する課題がある場合には、確実な解決が必要である。  課題はまず本人とバリアフリー推進オフィス、部局支援実施担当者で共有され、解決策について議論を行う。バリアフリー推進オフィスは、個別のニーズに基づいてバリアフリー化について提案し、本部施設部・各部局は実現可能性について提示する。キャンパス計画室はキャンパス計画大綱に基づいた整備計画であるかについて審議を行う。  設計・工事以降は、@と同様である。  バリアフリー工事には、短期的にすぐに対処が可能なものもあるが、長期的にじっくりと取り組むことが必要なものもある。費用や工期を要するために整備に時間がかかる場合は、ロードマップを示 -----p7 した上で、短期的に対処できる方法を次善の策として提示することが必要である。障害のある利用者も平等に参加するための必須事項については、ハードの整備だけでなく、多くの構成員の知恵も必要となる。  誰が、どのように使うのかというユーザー視点で考え、施設・設備の運用を含めた環境マネジメントを行いながら、計画的な改修や整備を進めることが望ましい。  計画的に改修や整備を進め、大学のバリアフリーを推進するためのプロセスについて考える。 ((空欄))/不特定のニーズ(環境整備、ユニバーサルデザイン)/個別のニーズ(合理的配慮の提供) 新築/<バリアフリー化>キャンパス計画室⇔本部施設部・各部局/<ニーズ調査>→推進オフィス→利用者 改修/<バリアフリー化>キャンパス計画室⇔本部施設部・各部局/<ニーズ>→推進オフィス→利用者 バリアフリー化/<整備計画>キャンパス計画室⇔本部施設部・各部局/<意見>←推進オフィス←利用者<要望>←本部施設部・各部局←推進オフィス・各部局支援実施担当者←利用者 事後点検/キャンパス計画室⇔本部施設部・各部局/推進オフィス→利用者  本部施設部・各部局とバリアフリー推進オフィスは情報を共有し、個別ニーズへの対応を積み上げ、案件ごとの調整を行いながら、ユニバーサルデザインに反映させ、大学のバリアフリーを推進する。 *なお、以下の「U. 具体的な整備事例」において構内の現状と改善例を示すが、((アンダーラインここから))改善例や改善案で示す手法はあくまで一例((アンダーラインここまで))であり、今後個々の状況や予算の状況を踏まえてバリアフリー工事を具体的に検討する必要があることを申し添える。 -----p8 3. 汎用性と個別性  実際にバリアフリー化を行う時に、考慮が必要なのが、「汎用性」と「個別性」である。「汎用性」とは、不特定多数の障害のある者が利用する場合を想定して、ユニバーサルデザインの設計に基づいてバリアフリー化を行うことを意味する。一方で「個別性」とは、特定の障害のある者が利用する場合を考慮して、合理的配慮としてバリアフリー化を行うことを意味する。この両者は、互いに排斥的ではない。  汎用性は個別のニーズの集合体である。個別のニーズは様々であり、ある個人のニーズは、他の個人の社会的障壁になることもある。完全なユニバーサルデザインの実現が現実的には困難だとしても、次項でも述べる「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」等のガイドラインは、基準として参考になる。また、ガイドラインは、日本国内すべての建築物を対象としたものだが、東京大学の建築物・利用者に特化した個別のニーズを集積することで、より効果的なバリアフリー化がなされるとも考えられる。社会の高齢化が進むなか、来学者の高齢化に配慮するだけでなく、構成員である教職員の誰もが皆、加齢していくことを考えると、バリアフリー化を進めることは全ての構成員に快適な環境を提供することになる。  一方で、個別性に基づくバリアフリー化は、実現が必須である。社会的障壁のために、不平等な状況に置かれることはあってはならない。個別のニーズが、過度の負担(例えば、数日内に膨大な費用を伴う施設改善)のため満たせないとしても、人的支援等の代替案をもって、社会的障壁は除去されなければならない。個別のニーズは、集積され汎用性に基づくバリアフリー化の基礎になる。  ロードマップを意識した汎用性の取組と、オンデマンドに対応する個別性の取組を、2つの視点として持ちながらバリアフリー化はなされるものだと考えられる。 *個別性に基づくバリアフリー化工事は、入学前相談を早めに行っても、入学あるいは授業開始に間に合わない事例が発生している。人的支援で凌げば良いという考えではなく、いつでも障害のある者が使えるキャンパスとしておくことが求められている。 **新入生は駒場Tキャンパスだけにいるとは限らない。大学院新入生は本郷キャンパス等全てのキャンパスで修学する可能性がある。 -----p9 U 具体的な整備事例 *以降に示す((アンダーラインここから))改善例や改善案で示す手法はあくまで一例((アンダーラインここまで))であり、今後個々の状況や予算の状況を踏まえてバリアフリー工事を具体的に検討する必要がある。 1. 汎用性に関する整備事例  誰もが使いやすいユニバーサルデザインをめざした環境の整備を進められれば、個別の要望に基づく障害者の差別の解消にあたっても合理的配慮を円滑に提供でき、多くの人にとって使いやすい快適な大学環境となると考えられる。  障害者の差別の解消に関する法規は、以下を基本として考える。 ○障害者の権利に関する条約 ○障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 ○障害者基本法 更に、障害者を含む誰もが使いやすい建築物におけるバリアフリーについては、以下を基本に考える。 ◎「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(国土交通省) 他に以下のガイドラインが参考になる。 学内 ○東京大学キャンパス計画大綱(平成26年3月27日) ○東京大学本郷地区キャンパス屋外環境整備計画基本方針(令和3年10月22日) ○東京大学本郷地区キャンパス屋外環境整備計画の各種ガイドライン(令和3年12月24日) ○東京大学施設のバリアフリー化に関する基本方針(平成17年9月8日) 学外 ○公共交通機関の旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン(国土交通省) ○道路の移動等円滑化に関するガイドライン(国土交通省) ○官庁施設のユニバーサルデザインに関する基準について(国土交通省) ○IPC アクセシビリティガイド(日本パラリンピック委員会) ○Tokyo2020 アクセシビリティ・ガイドライン(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会) -----p10 ユニバーサルデザインの7原則(提唱者:ロナルド・メイス(ノースカロライナ州立大学)) 障害の有無に関係なく多くの人が使いやすいであろう快適な空間を目指すためのポイントを以下に示す。 1. 誰もが公平に利用できる 基本的には誰もが同じ動線で利用できるようにする。 2. 使い方の自由度が高いこと 能力に合わせた使い方を選べる 3. 使い方が簡単で分かりやすい 移動しやすい経路、分かりやすい動線 4. 情報が分かりやすい 状況や能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わる 5. ミスや危険につながらない ミスや危険をできる限り防ぐ。フェイルセーフを提供する。 6. 少ない身体的努力 無理な負担なく、楽に使用できる 7. アクセスしやすいスペースと大きさの確保 ユーザーの体格や姿勢、能力に関わりなく、補助具や介助者のためのスペースも含め、アクセスしやすいスペースと大きさが提供される。  多様な人々が、行きたいところへ困らずに行ける環境作りを考えるために、以下の順に事例を挙げながら説明する。 1)構外から構内への連続性 2)構内移動経路 3)建物出入口 4)建物内部  具体的には、門を入ってから目的の部屋に行き、着席したり、休憩時間にトイレを利用したりすることが円滑にできるかどうかをイメージしながら考える。ここでは物理的バリアと情報的バリアについて事例を示すが、情報的バリアについては障害の種類・内容および個人により必要とする情報が異なるので、合理的配慮を確実に実施しつつ、長期的にユニバーサルデザインにすることが望ましい。 @構外から構内への連続性  障害があっても、障害のない人と同じルートでアクセスできることが望ましい。現状では、段差や階段があったり、舗装が平滑でなかったりするために、同じルートを取ることができない場合がある。構外の都道や区道を管轄する自治体による整備と構内の整備に連続性を持たせ、スムーズなアクセスを可能にすることが望ましい。 -----p11 1)−1 物理的バリア @段差 ((写真 区道に接する門。数センチの段差の一部を工事で解消)) 区道から構内に入る門の箇所に段差があり、車イス使用者の通り抜けが困難である。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 門周囲と通路の間の段差を解消)) 改善例 区道を管轄する自治体に交渉し、車イスの幅分の段差解消工事を実施した。 改善例 門から通路へ円滑に通行できるよう、段差をなくす工事を実施した。 ((写真 門に続く階段)) 南北線駅から本郷キャンパスへの最寄り門(西片門)は階段のみのため、車イス使用者は利用できない。 ((青の右矢印)) 改善案 段差解消機の設置が考えられる(が、費用を要するため、未解決)。 現行 車イス、杖、ベビーカー使用者は他の門(正門)まで迂回して入構する。 A路面 ((写真 門周囲のピンコロ石舗装)) 農正門前はピンコロ石舗装のため、平滑でなく、車イス、杖、ベビーカー等では通りにくい。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 門周囲の一部を工事で平滑化)) 改善例 守衛所側の一部に車イス幅分の平滑部を設けた。 -----p12 1)−2 情報的バリア @誘導の断絶 ((写真 門の外側の歩道部分の誘導用ブロックと門周囲)) 門の前の歩道部分と門内にも誘導用ブロックが敷設されているが、門周囲には敷設されていないため、誘導が絶たれている。 ((青の右矢印)) 改善案 門周囲にも敷設して、連続した誘導にする。 A構内移動経路  構内の経路は、バリアフリーという考え方のなかった時代に整備されたものを改修しながら継続使用しているため、現行のバリアフリーの基準を満たさないものもある。個々の工事を単独で完結させるだけでなく、周囲のバリアフリー環境に連続させながら、全体のバリアフリー環境を整えることが望ましい。特に路面については、段差がないのはもちろんだが、平坦・平滑であることも、負担のない移動を可能とするためには重要である。 2)−1 物理的バリア @車止め ((写真 数十p間隔で並んでいる直径20pくらいの球体の車止め)) 石板の上に、同色の組み合わせであること、膝下の高さであることから、視覚障害者には認識しにくく、躓いたり転倒したりすることもあり危険である。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 車止めを工事で撤去)) 改善例 車両通行ルートの変更により、現在は車止めとして不要であることを確認し撤去。 -----p13 ((写真 ポール状の車止め2本と間に渡されたチェーン)) チェーンの下を白杖がとおり抜けてしまうため、チェーンの存在を認識できずに直進し、転倒する危険がある。視覚に障害がない者も、夜間はチェーンを視認できず転倒する危険がある。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 ポールとチェーン撤去後に設置された木製車止め)) 改善例 ポールとチェーンを撤去し、腰程度までの高さの木製車止めを設置。照明を明るく変えて、視認しやすくした。 ((写真 壁脇に敷設された誘導用ブロック)) 広場の誘導用ブロックの一部が、壁から25センチメートルしか離れておらず、壁に衝突する危険がある。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 壁にぶつからないよう敷設ルートを変更)) 改善例 左右60センチメートル(男性の肩幅45センチメートル+α)ずつ空けて、白杖を左右どちらで持っても歩けるようベンチ前を通るルートに変更。 A路面 ((写真 ピンコロ石舗装の道路)) 路面が平坦、平滑でないために、移動時に体に負担がかかったり、時間を要したりすることがある。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 工事で一部200p幅を平滑化)) 改善例 構内全ての路面を平滑にするのは現実的ではないので、よく使う経路、あるいは負担の大きな坂道の一部を車イスがすれ違うことができるように200センチメートル幅の目地を整えて石の表面を削り平滑化。 -----p14 2)−2 情報的バリア @誘導用ブロック ((写真 路面の色と誘導用ブロックの色が殆ど同じ)) 路面の色とのコントラストがなく、色の情報を頼りに歩く弱視者には、視認しにくい。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 路面と誘導用ブロックの境界部に黒色のボーダーを挟み込んで敷設)) 改善例 路面の色とコントラストが弱い場合は両端に黒色のボーダーを入れてコントラストを強めて視認しやすくする。 ((写真 誘導用ブロックと同じ色の道路区画ライン)) 誘導用ブロックが白色の場合、区画ラインや横断歩道も白色であるため、弱視者には視認しにくく、混在する箇所では進行方向を見誤るおそれがある。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 不要なラインを消して識別しやすくなった誘導用ブロック)) 改善例 不要なラインを除去した。 ((写真 雨天時、誘導用ブロック上にできた水溜まり)) 降雨後、水溜まりに水没し、誘導情報が断絶し、進行方向を見失う。 ((青の右矢印)) 改善案 水溜まりのできない箇所に敷設するか、雨水対策の排水溝を近くに設けて水没を防ぐ。 -----p15 *誘導用ブロックの色と材質について 誘導用ブロックの色について、「視覚障害者誘導用ブロック設置指針(国土交通省)」では「原則として黄色とする」となっている。東京大学では「構内視覚障がい者誘導用ブロック設置に関するガイドライン 令和4年3月25日」で構内の誘導用ブロックの整備基準、仕様を統一することが定められ、色については「誘導用ブロック(アイボリー:マンセル値 5.2Y7.2/1.7(参考値))」「両脇のボーダーライン(黒系)」となっている。周囲とのコントラストを強め、輝度比は最低2.0以上を確保、帯状に視認できるようにする。上記以外の色を使用する場合、また幅30p以上の帯状ではなく鋲タイプを使用する場合は、その理由を設置者の責任で当事者に説明できるようにする。 **ステンレス鋲の危険 ステンレス鋲タイプは、特に雨天時に滑りやすく危険である。学内で障害のない学生が雨天時に足を滑らせ、頭部裂傷を負う事故があった。メーカーのカタログにも((アンダーラインここから))『ノンスリップとは、乾燥状態において一般品と比較した場合、「すべりにくい」という仕様の表現です。降雨時及び湿潤状態ではこの限りではありません。((アンダーラインここまで))したがって、もしものスリップ事故や転倒事故には充分注意して下さい。』という記載がある。危険性の高まる選択をするのであれば、その選択を誰の責任でしたのか記録を残し、事後に備える。 A段鼻 ((写真 階段上部から見下ろした様子。段鼻の見分けができない)) 段鼻が見えにくく、階段の始点も、段数も識別しにくいため、弱視者には階段の存在を視認し難く、踏み外す危険がある。 ((青の右矢印)) ((写真 段鼻に色を載せた改善案)) 改善案 段鼻が分かるよう、視認しやすい色をのせることで階段の存在を知らせる。 -----p16 B照明・明るさ  動線を連続的に明るくする。建物の入口だけを明るくするのではなく、歩道部分の明るさも確保する。安全性だけでなく安心感の担保についても考慮する。 ((写真 工事前の夜間の状況。道路と側壁の境界が見えない)) 冬期、夕方の帰宅時間には、かなり暗くなり、視覚障害で夜盲のある人は特に歩きにくい。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 道路端の白線の塗り直しと照明器具の変更工事後)) 改善例 照明器具を明るい器具に変更、白線を塗り直し。全体が明るくなり、白線が識別しやすくなったため、道路脇の側壁にぶつかることがなくなった。 -----p17 B建物出入口  建物の出入口については、無理な負担なく近づくことができ、スムーズに通過できることが望ましい。 3)−1 物理的バリア @-1 スロープ ((写真 地下への急な勾配のスロープ)) 傾斜が急であるため、車イス使用者は自走できず、自由に建物に出入りできない。 ((青の右矢印)) 改善案 スロープの設置箇所の変更も含め、車イスで通行可能な傾斜のスロープにする。 @-2 スロープ ((写真 建物出入口外側)) ((写真 建物出入口内側の階段)) 構内には、屋外から数段の階段を上がった場所に玄関ホールがあり、玄関ホールを入るとまた数段の階段を上って1階レベルにアプローチする建物がある。車イス利用者のアクセスのためスロープを設置しようとすると、@外部のスロープが長く歩道と干渉する、A内部のスペースが狭く法定勾配以下のスロープを設置できないなどのため、対応が難しいことが多い。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 建物出入口外側スロープ)) ((写真 建物出入口内側スロープ)) 改善例 玄関ホールの床を30センチメートルほどかさ上げして、建物内部に建物1階までの法定勾配以下のスロープを設置、外部は空間に余裕があるため、建物の外壁に沿って法定勾配以下のスロープを設置し、車イスで無理なく利用できる出入口にしている。 -----p18 A段差 ((写真 建物出入口に設けたスロープとそれにより生じた周辺通路との段差)) 段差解消のためのスロープが新たな段差を生じさせており、つまずく危険がある。 ((青の右矢印)) 改善案 すり付け工事などを行い、段差をなくす。 Bエレベーター出入口 ((写真 建物前広場のエレベーター出入口)) ((写真 エレベーター扉)) ((写真 エレベーター呼び出しボタン)) @エレベーター呼び出しボタンが、扉に向かって入り込まないと押すことができない。 A呼び出しボタンの位置では乗り込む人と出る人の動線が完全に交錯し、危険。特に車イス使用者が待っている場合は、すぐに移動することが困難。 ((青の右矢印)) 改善案 呼び出しボタンは、双方向の動線がぶつからずに待てる位置にする。扉を一部ガラスにして相手の動きがわかるようにする。 -----p19 C扉 ((写真 建物出入口両開き扉)) 重い両開き扉のため、車イス使用者は入りにくい。 ((青の右矢印)) ((写真 建物出入口自動扉)) 改善案 自動扉に改修する。 *停電時に備えた対応 自動扉が停電時にどのような設定になっているのか確認が必要。停電時に自動扉が閉まったままとなり、車イス学生が建物外に出られない事態が発生したこともある。手動で解錠できる扉であったが、錠が扉最上部にあったため、車イス使用者には解錠はできなかった。車イス座面から手の届く高さに、解錠機器を設けることで対応可能である。 D車イス使用者用駐車施設 ((写真 建物出入口スロープと表示の剥げかけた車イス使用者用駐車施設)) @駐車施設の幅が足りないことに加え、横にあるスロープの柵が障害となり、車イスドライバーが乗り降りできない。 A駐車施設の表示が剥げかかっており、駐輪する自転車があるために車イス使用者は駐車できない。 ((青の右矢印)) ((写真 はっきり表示された車イス使用者用駐車施設)) 改善案 @車イス使用者は、車から乗り降りする際ドアを全開にする必要があるので十分なスペースを取る。 A車イス使用者のための駐車施設であることの表示を分かりやすくすることで、違法駐輪を防ぐ。 -----p20 3)−2 情報的バリア @建物入り口 ((写真 全面透明ガラス製の扉)) 全面透明ガラスのため、弱視者はドアの存在に気がつかずに衝突する危険がある。 ((青の右矢印 全面透明ガラス製の扉)) ((写真 透明ガラスの目線高さにコントラストの強い色の模様を入れた扉)) 改善案 目線の高さに目立つ色や模様を入れて、ガラスドアに気づきやすくする。 A建物案内表示 ((写真 建物案内図)) 工夫例 建物入り口正面に大きく分かりやすい表示がなされている。 ((写真 フロア案内図)) 工夫例 エレベーターを出た正面にフロア図を示している。位置関係を把握しやすい向きであり、目的地までスムーズにアクセスできる。 -----p21 C建物内部  建物内では、講義室や事務室へ支障なく移動して着席したり、トイレを困難なく使えたりするようにする。障害のある利用者の動線は、可能な限り短くなるよう配慮する。 4)−1 物理的バリア @扉  開き戸は、車イス使用者、特に手指の動きの良くない者や力の弱い者には使いにくいので、自動扉または引き戸にする。その際、可能な限り軽い力で操作でき、大型車イスでも通れるような開口幅を確保する。 ((写真 開き戸から引き戸に改修した扉)) A講義室の机と椅子  一般の利用者と同様に障害のある者も席をある程度選択できるように、講義室の前後左右の複数の位置に可動式椅子を用意することが望ましい。 ((写真 教室最後尾の固定机と椅子)) 固定式の机と椅子のため、車イスのまま着席することができない。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 固定机と椅子の撤去後に設置した可動椅子)) 改善例 車イスでアクセスしやすい位置の固定式机と椅子の一部を撤去し、可動式の机と椅子を設置することで、車イス使用者が利用できるようにした。 B講義室の教壇 ((写真 階段4段を上った先の教壇)) 教壇が高く、登壇用の階段が狭い。 @視覚障害者を誘導して登壇する際に困難を伴う。A簡易型のスロープの設置もできないため、車イス使用者は登壇できない。 ((青の右矢印)) ((写真 スロープを配した教壇)) 改善案 設計段階でスロープの設置を検討する。 -----p22 C斜めの構造物 ((写真 廊下上部の斜めの構造物)) 通路の上部にある斜めの構造物は、視覚障害者の白杖では察知できないため、直進し頭部をぶつけてしまう危険がある。 ((青の右矢印)) 改善案 危険な構造物の下に入り込まないよう、柵などを設ける。 D手すり ((写真 点字シールを貼った階段の木製手すり)) 工夫例 @気温が低い時に触っても、冷たくない材質の手すりを設けている。 A階段両側に設置することで、右麻痺・左麻痺、上り下りどちらにも対応できる範囲を広げる。 B点字シールで、現在階と矢印の後に行き先階の情報を提供する。 *階数表示の他、エレベーターボタン、案内板等についても、JIS0921に準じた点字表示で情報提供することが望ましい。 *視覚障害者にとっては、安全に乗降するための重要な情報ツールにもなる。 -----p23 Eバリアフリートイレ  トイレは全ての人に必要な設備である。障害によりバリアフリートイレでなければ用を足せない人もいるので、特段の配慮が必要である。 ○開閉錠 ((写真 バリアフリートイレ扉の小さな錠)) 上肢障害者や手指の動きが不自由な障害者は開閉錠が小さいと操作しにくい。 ((青の右矢印)) ((写真 バリアフリートイレ扉の大きな錠)) 改善案 大きく軽い力で操作しやすい形状の錠に変更する。 ○手が届かない位置にある操作盤や紙巻器 ((写真 通常よりも高い位置に配された紙巻き器とウォシュレット操作盤)) ((写真 通常よりも高い位置に配された紙巻き器と不要な便器蓋)) @操作盤やトイレットペーパーが高い位置に設置されていると、車イス使用者は利用できない。 A便器フタは、手指の力が弱い者や動かしにくい者には、フタを持ち上げる負担があり使いにくい。 ((青の右矢印)) ((写真 便器に座ったまま使いやすい高さに配された紙巻き器と操作盤。蓋が無く、背もたれのある便器)) 改善案 @便座に座ったまま利用できる高さに操作盤や紙巻器を設置。 A便器フタがなく背もたれ付きの便器を設置。 操作盤や紙巻き器の使いやすい配置について JIS S 0026:2007 高齢者・障害者配慮設計指針  公共トイレにおける便房内操作部の形状、色、配置及び器具の配置:  便器の前端の上方15から40センチメートルの高さに紙巻器、紙巻器の真上10から20センチメートルの高さに便器洗浄ボタン、便器洗浄ボタンと同じ高さで便器後方に向かって水平距離20から30センチメートルの位置に呼び出しボタンを配置する。 -----p24 ○車イス使用者の姿が映らない鏡 ((写真 洗面台から間隔を空けて上方に設置された鏡)) 洗面台上部の壁の鏡には、車イス使用者の姿が映らず、鏡を利用できない。 ((青の右矢印)) ((写真 洗面台から間隔を空けずに設置された鏡)) 改善案 縦長の鏡を設置し、車イス使用者の姿が映るようにする。 ○緊急呼び出しボタン ((写真 1か所のみで便座に座った状態では届くが、床に転倒した状態では届かない呼び出しボタン)) 移乗時に転倒した場合、高い位置のボタンに手が届かず、助けを求められない。 ((青の右矢印)) ((写真 便座に座って届く高さ、床面に倒れても届く高さの呼び出しボタン)) 改善案 座面からのほか、床面からも届く高さに設置する。紐付きボタンであれば引っ張って呼び出すことも可能である。 ○右勝手・左勝手仕様 ((写真 建物2階、便座の右にある紙巻き器)) 同じ建物の2階と3階にバリアフリートイレが設置されているが、どちらも左勝手であり、便座に左側からアプローチして座りたい麻痺の場合は使いにくい。 ((青の右矢印)) ((写真 建物3階、便座の右にある紙巻き器)) 改善案 同一建物内に複数のバリアフリートイレを設置する場合は、左勝手だけでなく、反転の右勝手も設置すれば、使い勝手に合わせた選択が可能になる。 -----p25 バリアフリー推進オフィスによせられた意見の紹介 ○(トイレに座ることができない人でも用が足せるよう)バリアフリートイレには介助用ベッドを設置してほしい。 ○介助者用のスペースがある広さが望ましい。 ○鍵は停電時解錠に設定し、トイレに閉じ込められないようにしてほしい。 ○バリアフリートイレが建物の1階にしかなく、エレベーターが混雑すると移動できないため、講義間の休憩時間では間に合わない。高層の講義棟では必要階に設置してほしい。 F自動販売機 ((写真左 車イスに座った位置からは押せない高い位置のボタン、硬貨投入口の小さい自販機)) ((写真中央 バリアフリータイプ自販機全体)) ((写真右上部 バリアフリータイプ自販機ボタン。同じ商品のボタンが立って押しやすい高さと車イスに座って押しやすい高さの2か所にある)) ((写真右下部 バリアフリータイプ自販機硬貨投入口。一括投入タイプ)) @車イスでは、最上段のボタンを選べない。 A手指の動きが良くない場合には、硬貨投入口が小さいため使いにくい。 ((青の右矢印)) 改善案 @最上段の商品は、低い位置に並ぶボタンでも選択できる。 A硬貨投入口はスリットでなく、まとめて投入できる一括投入口である。釣り銭は、カバーを開けずに片手で握って取り出せる受け皿タイプの返却口である(バリアフリータイプ自販機)。 -----p26 4)−2 情報的バリア  必要な情報を、必要な人にわかりやすく伝えなければならない。障害のない人の視点では、「わかりにくさ」に気がつかない場合があるので、特にサイン計画などにおいては慎重な検討が重要である。 @通路  床と壁の色が同色だと空間の形状がわかりにくい。また、壁と扉の色が同色だと、扉(部屋)の位置がわかりにくい。コントラストの強い色の組み合わせを使うほか、コントラストの強い色をボーダーに入れて分かりやすくする。 ((写真 床と壁、壁と扉の色にコントラストを強く持たせたデザインの扉)) 工夫例 廊下と壁の境界部にコントラストの強い色のボーダーを入れてエッジを強調して空間の形状を分かりやすくする。 壁と扉の色のコントラストを強くして、扉の位置を明示している。 A階段段鼻、点状ブロック ((写真 警告ブロックと段鼻に床面色とコントラストの強い色を配した階段)) 工夫例 階段の始点と終点に点状ブロックを配し、階段の存在を知らせている。色のコントラストもはっきりしており、弱視者でも見やすい配色である。 階段段鼻は滑り止め効果のある素材で、コントラストの強い色を用いると、安全に利用できる。 B部屋番号表示 ((写真 扉上部の小さな表示の部屋番号)) ドア上部の小さなプレートに表示された教室番号は、弱視者にはそもそも存在がわかりにくいため、認識しにくい。 ((青の右矢印)) ((写真 目線の高さに太く大きくコントラストの強い色で表示された部屋番号)) 改善案 弱視者でも見つけやすいよう、ドアの目線の高さにドアの色とコントラストの強い色で太く大きく表示する。 -----p27 Cエレベーター乗り場ボタンと操作盤 ((写真 エレベーター扉正面に導く誘導用ブロック)) 視覚障害者を開閉ドア正面へ誘導すると、 @乗り場ボタンの位置を手探りで探すことになり負担である。 Aエレベーターから降りる人とぶつかるため危険である。 ((青の右矢印)) ((写真 エレベーター呼び出しボタンの位置に導く誘導用ブロック)) 改善案 誘導用ブロックで乗り場ボタンの位置に案内すると、 @ボタン操作が容易となる。 Aエレベーターから降りる人とぶつかることはない。 # ((写真 エレベーターかご内のフロアボタン左側の点字併記)) 工夫例 かご内のボタンに点字が併記されていれば視覚障害者が操作可能である。 古いエレベーターで点字表示がない場合は、点字シールを貼ることで情報を提供する。 Dトイレ使用表示 ((写真 トイレ扉下方の小さな使用表示)) ドアの下方に小さく表示されていて、かなり近づかないと見えにくい。 ((青の右矢印)) ((写真 トイレ扉、車イス座面から見やすい高さの使用表示)) 改善案 車イス座面から見やすい高さにあること、使用可能な場合は青色、使用不可の場合は赤色の表示のため分かりやすい。 -----p28 Eサイン  部屋の用途を視覚的に分かりやすく示すための案内用図記号(以下、ピクトグラム)が、オリジナルなデザインのために理解しにくい、あるいは背景色とのコントラストが弱く見えづらいために、情報の新たなバリアを生じさせることがある。ピクトグラムはJIS規格(JISZ8210 標準案内用図記号)に準ずることが望ましい。 ピクトグラムに求められる視点:デザイン性よりも分かりやすさを優先する ○誰が見てもすぐに分かる図記号であること ○形状から認知しやすいこと ○視認しやすく、色覚特性のある人に不便を感じさせないカラーバリアフリーに配慮すること  弱視者が見やすいよう、背景色とのコントラストが強い色  色覚特性があっても見やすい色の組み合わせ ○色の持つイメージを活用すること (例:緑→安全のイメージ→非常口に使用など) (一覧表)ピクトグラムの見やすさや分かりやすさ ((空欄))/JIS規格/構内サイン@/構内サインA/構内サインB/構内サインC バリアフリートイレ/JIS規格ピクトグラム/(写真)タオル掛けに見えるサイン/(写真)2本の棒、丸、黒丸、長方形を合わせたサイン/(写真)縦長楕円に腰かけているサイン/(写真)黒丸の下に3/4円のサイン 男子トイレ/JIS規格ピクトグラム/(写真)丸の下に四角形を合わせたサイン/(写真)胴体四角青色のサイン/(写真)逆三角形青色のサイン/(写真)黒丸と正方形のサイン 女子トイレ/JIS規格ピクトグラム/(写真)丸の下に三角形を合わせたサイン/(写真)胴体三角赤色のサイン/(写真)小さな正方形、下に少し大きい正方形、下に大きな長方形、下に細い長方形を合わせたサイン/(写真)黒丸と三角形を合わせたサイン バリアフリー推進オフィスによせられた意見の紹介 ○バリアフリートイレのピクトグラムがわからなくて、探すのに時間がかかった。 ○バリアフリートイレのピクトグラムがタオル掛けに見えた。 ○同系色の組み合わせのため、トイレを見つけられなかった。 -----p29 トイレまでの誘導表示1  分かり易いサインを作っても、設置する位置や高さ、また大きさにより、見つけにくいこともある。利用者の動線を考え、必要があれば複数方向から見える設置に配慮する。 ((写真 男子トイレ入口の貼り紙)) @南→北方向の廊下の突き当たり正面に男子トイレがあるが、ピクトグラムが見えないため「男子トイレ→」の貼り紙をしている。 ((写真 男子トイレ入口に近づいて覗き込んだ時に見えるピクトグラム)) A近づいて中を覗き込むと男子トイレのピクトグラムが見える。 ((写真 トイレピクトグラムの廊下東西方向からの見え方)) B西→東方向の廊下からは、トイレのピクトグラムが見える。 ((写真 トイレピクトグラムの廊下南北方向からの見え方)) C@の建物正面入口から近い南→北方向からは見えない。 ((青の下矢印)) 改善案 複数方向からアクセスするトイレの場合、ピクトグラムはどの通路からでも見られる場所に設置する。 -----p30 トイレまでの誘導表示2 @((写真 通路の高い位置にあり遠距離でも見つけやすいトイレピクトグラム)) ((オレンジの右矢印)) A((写真 通路の高い位置にあるトイレピクトグラム)) ((オレンジの右矢印)) B((写真 トイレ扉上方のピクトグラム)) 工夫例 見通しのきかない箇所へ誘導するために、@廊下に立つと前方に表示が見える。A表示箇所に近づいて曲がるとBトイレに到達できる。 バリアフリー推進オフィスによせられた意見の紹介 「使えるけれども不便」で良いのか 障害者のためにバリアフリー化、あるいはユニバーサルデザインと呼ばれる設備が徐々に増えてきているが、作り手側の満足で終わっている例もあり、障害者、あるいは介助者が使い易いかどうかの意見聴取や検討はこれからとなっている。 スロープが建物に1箇所しかなく障害者にだけ遠回りを強いているのではないか、エレベーターに乗るために建物内の移動距離が長くなっていないか、障害のない人には求めない負荷を障害者にだけ求めていることがあるのではないか。 「使えるけれども努力が必要である」、「使えるけれども時間をかける必要がある」ではなく、「当たり前に使える」ことを目指すことが求められている。 「障害者用の設備は美しくない」のか 例えばスロープのない建物にスロープの設置を要望すると、「キャンパスの景観を壊すことになるとは考えないのか」と質問されることが時にあった。景観と障害者が授業を受けられない状況を比較することはどうなのだろうか。「大学の教育の機会を満たした上での景観」という考え方が大学に求められるのではないか。障害者を含めた多様性を受容するキャンパスデザインが美しい景観であるという考え方もあるのではないか。 -----p31 *男女共用お手洗(男女共用トイレ)について 東京大学では「UTokyo Compass 多様性の海へ:対話が創造する未来」において、「対話を通した創造、多様性と包摂性を大切にし、世界の誰もが来たくなる大学を創り上げていくこと」を基本理念として掲げている。構成員の多様性を認め、尊重する環境の一つとしてトイレについても検討も行っている。 従来の女子トイレ、男子トイレ、バリアフリートイレ(車イス対応)の利用ではストレスを感じる構成員もいることから、男女共用トイレの設置が始まっている。 男女共用トイレを設置する際は、設置階や設置位置に配慮し、利用することが自然に見える条件を整えることが望ましい。例えば「建物入り口に近かったから男女共用トイレを利用した」「自販機の帰りに隣にある男女共用トイレを利用した」等説明できる環境を準備する。 また、出入口が見えにくいよう衝立や観葉植物を置く等の配慮が必要な場合もある。 男女別のトイレを利用したい構成員もいるので、同一建物内で男女共用トイレとの便房数のバランスを考えることが望ましい。 表記については、ユーザーニーズに反するような「ジェンダーレストイレ」「レインボートイレ」等の表記を行わないことが望ましい。 男女共用トイレの設置方法、設備、表記等については多様な考え方があり、現時点では正解がないため、学外事例の情報を集めながら、今後継続して検討することが必要であると考える。 -----p32 2. 個別性に関する整備事例  障害の種類や内容は個人個人で異なるため、障害ゆえに生じる困難も異なる。ユニバーサルデザインに近づける整備を行っていても、ある個人にとって利用しやすいとは限らず、個人個人の困難を軽減するために合理的配慮に基づくバリアフリー改修が必要なことも生じる。  短期的にすぐに対処が可能なものもあるが、長期的にじっくりと取り組むことが必要なものもある。費用の調達や工事の調整に時間がかかる場合は、ロードマップを示した上で、短期的な対処方法を次善の策として講じて利用開始に間に合わせることも必要である。障害のある利用者も平等に参加するための必須事項については、ハードの整備だけでなく、多くの構成員の知恵も必要となる。  誰が、どのように使うのかというユーザー視点で考え、施設・設備の運用を含めた環境マネジメントを行いながら、計画的な改修や整備を進めることが望ましい。 @車イスを使用する学生の入学に向けた改修例 @建物出入口の改修 ((写真 建物出入口の開き戸。高い位置のカードリーダー)) @開き戸が重く、出入りが困難であった。 Aカードリーダーの位置が高く、カードをかざしながら入ることが困難であった。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 扉は自動扉に改修。カードリーダーを車イス座面から届く位置に変更した出入口)) 改善例 @自動扉に改修した。 Aカードリーダーの位置を変更した。 *カードリーダーのほか、スイッチ、リモコンの位置は、車イスの座面からも障害のない人でも使いやすい高さにすることが望ましい。 ((写真 建物出入口の開き戸)) 開き戸が重く、出入りが困難であった。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 開口部を広く確保するための3枚扉の自動扉に改修した出入口)) 改善例 自動扉を設置した。開口部を広く確保するために3枚扉を採用した。 -----p33 A講義室出入口の改修 ((写真 講義室出入口の開き戸)) 開き戸のため、車イスを操作しながら出入りすることは困難であった。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 講義室出入口の扉1か所を引き戸に変更、扉の取っ手は棒状引き手に改修)) 改善例 講義室内のバリアフリースペースに近い位置の扉のうち1か所を引き戸に改修した。 Bバリアフリートイレの改修 ((写真 レバー式の便器洗浄トイレ。温水洗浄便座機能無し)) 手指をうまく動かせないため、 @便器洗浄レバーを押し下げることが困難であった。 Aペーパーだけでは清拭しきれないためウォシュレットの要望があった。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 タッチパネル式便器洗浄、温水洗浄便座に改修)) 改善例 @タッチパネルで便器洗浄ができるよう改修した。 A温水洗浄便座を設置し、手指をうまく動かせないことをカバーした。 ((写真 便房内の壁。荷物置き用の棚やフック等はない)) 便房内に荷物を置く棚がなく、用便時に不便であった。 ((オレンジの右矢印)) ((写真 車イスに座ったまま届く高さに棚を設置)) 改善例 車イスの座面からかけやすい高さに棚を設置し、教科書等を入れたバッグをかけられるようにした。 -----p34 C特殊な個別性への対応について  現在、学内の主要な建物にはエレベーターが設置されている。車イス対応エレベーターの数も増えつつある。エレベーターのかごは170センチメートル×150センチメートル以上の大きさにすることが望ましい(IPC アクセシビリティガイド)。  車イス対応エレベーターでも、大型の電動車イスやストレッチャー車イスには対応できないことがある。大型エレベーターを必要とする者が入学・進学してきた場合に改修や増築で対応できることが望ましいが、古い建物を継続利用しているためにエレベーター設置が困難な場合もある。その場合は、段差がなくスムーズに移動できる1階の講義室やホールを利用できるよう教室変更や改修を行うことで対応することもある。  演習や実験等の特殊な教育設備を必要とするために教室変更が困難な場合には、短期的には特殊な教育設備を別室に移動させて遠隔システムで受講できるよう対応した上で、長期的にエレベーターの設置を進める必要がある。  標準的なバリアフリー化を進めても、全ての個別性に対応できるとは限らないので、次善策を考え対応して行くことが求められる。  また、雨天時等状況に応じた対応も必要であり、利用者の意見を聞くことで、必要な対応を明確にすることが望ましい。 -----p35 3. 人的なバリアとバリアフリー  ユニバーサルデザインの環境整備を進めても、障害のある利用者がストレスなく過ごせるキャンパスになるとは限らない。無理解、無関心、非協力、自分勝手な行動による構成員が作り出すバリアへの対応が必要である。 @構成員が作り出すバリアの例 @スロープ入り口に駐輪をする ((写真 建物出入口スロープに行くための車イス経路)) @建物に入るための段差のない唯一の経路。(授業開始前撮影) ((写真 違法駐輪が多くスロープに辿り着くことができない)) A違法駐輪のため、車イスで通行できない。(授業開始後撮影) ((青の右矢印)) 改善案 駐輪は駐輪場にするというマナーを徹底させる。 Aスロープに飛び出す駐輪をする ((写真 自転車をスロープ支柱に凭れて駐輪させ、スロープ側に飛び出したハンドル)) スロープ支柱に立てかけて駐輪するため、ハンドルがスロープに飛び出してスロープ幅を狭めており、車イスで通行しにくい。 ((青の右矢印)) 改善案 駐輪は駐輪場にするというマナーを徹底させる。 -----p36 B誘導用ブロック上に泥よけマットを置く ((写真 誘導用ブロック上に置かれた泥除けマット)) 誘導用ブロック上にマットが置かれ、誘導が遮断され、進行方向がわからなくなる。 ((青の右矢印)) ((写真 誘導用ブロックを避ける形にカットされたマット)) 改善案 誘導用ブロックにかからないようマットを敷く。 C誘導用ブロック上に駐輪・駐車をする ((写真 誘導用ブロック上に置かれた建物外の自転車)) ((写真 誘導用ブロック上に置かれたピロティ内の自転車)) 誘導用ブロック上に駐輪しているため、視覚障害者が自転車にぶつかる危険がある。 ((写真 誘導用ブロック上に駐車している乗用車)) 誘導用ブロック上に駐車しており、視覚障害者がぶつかる危険がある。 ((青の下矢印)) 改善案 @誘導用ブロック上には駐輪、駐車しないというマナーを徹底させる。A誘導用ブロック周囲は、視覚障害者が通行できるよう左右それぞれ60センチメートル程度空けるというマナーを徹底させる。 D誘導用ブロック上に看板等を置く ((写真 誘導用ブロック上に置かれた立て看板)) 誘導用ブロック上に看板を倒して置いているため視覚障害者がつまずいて転倒する危険がある。 ((青の右矢印)) 改善案 誘導用ブロック上にものを置かない。左右それぞれ60センチメートル程度空けるというマナーを徹底させる。 -----p37 Eバリアフリートイレを着替え、昼寝等で長時間の目的外利用をする ((青の右矢印)) 改善案 @バリアフリートイレでなければ用を足せない人がいることを伝える。 Aバリアフリートイレの数を増やす。 F「車イス使用者用駐車施設」を障害のない人が利用する ((青の右矢印)) 改善案 車イス使用者のための駐車施設の目的、必要性を伝える。 G自転車を降りて利用するルールの歩道を乗ったままスピードを落とさずに利用する ((写真 歩道に設置された自転車速度制限用の車止め全体)) ((写真 注意喚起表示部分の拡大)) 歩道に自転車の速度制限のための車止めが数か所設置され、車イスで通過しにくくなっている。 ((青の右矢印)) 改善案 「歩道では自転車を降りて押して歩く」というルールが守られれば、車止めは不要となり、大型の車イスでの通行が可能になる。 バリアをつくっているのは自分かも知れない?  どんなに物的環境をユニバーサルデザインで整備しても、使う人のマナーが悪ければ環境を効果的に活かすことはできない。そのものの本来の目的で利用するというマナー向上がバリアフリー化になることもある。  バリアフリー設備を使う者の意識向上をはかるには、バリアフリー推進オフィスや施設担当者だけでなく、多くの構成員とバリアフリー化の考えを共有するのが望ましい。障害のある利用者が困るのは、バリアを作る者が存在するからであると気づくこと、そのバリアをなくすのは作った者であること、少しの心配りでバリアをなくすことができると気づくことが、誰もが使いやすい快適な環境を作り上げることにつながる。 -----p38 4.「つながるバリアフリー」  施設等のハード面は、設計時におけるユニバーサルデザインの導入に加え、個別対応のバリアフリー工事で整備を進めることが望ましい。ただし、障害の内容によってバリアとなるものは異なるため、全ての障害者に完全にバリアフリー化された環境を提供することは困難である。  長期的に取り組むべき課題にはロードマップを示した上で、短期的対処を次善策として実施し、障害者も平等に参加できる環境を整備する。人的支援を含む「心のバリアフリー」で対応できる環境整備もある。 人的支援の例 ((写真 2階の食券売り場に行くための階段)) エレベーターのない建物の2階に食券売り場があるため車イス使用者は食券を買うことができず、食堂の利用ができなかった。 ((オレンジの下矢印)) ((写真 車イス使用者は1階で注文して食堂を利用できるサービスについて掲示)) 改善例 車イス使用者は、1階のメニュー表を見て近くの職員に声をかければ、その場で注文ができて食堂を利用できるようになった。職員がかわってもきちんと引き継ぎがなされている。 ((写真 人的支援を依頼するためのインターフォン)) 改善例 上記に加え、大改修後は1階だけ、あるいは2階だけで動線が完結するようになった。エレベーターが設置され、1階と2階の往き来も可能となっている。バリアフリートイレも新設され、車イス使用者も利用できる食堂になった。人的支援を要する場合は、混雑しない場所にあるインターフォンを押して待つことも可能である。ハードとソフト両方のバリアフリーが備わった好事例である。  全ての構成員の協力による物的環境と人的環境の整備の積み重ねが、点から線へ、線から面への「つながるバリアフリー」となり、キャンパス全体の空間を快適な空間に変えていくことが望ましい。 -----p39 建物バリアフリー要望リスト ・基本設計で考え方として盛り込まれているかどうか確認する。 ・実施設計では具体的な数値や色等をクリアしているかどうか確認する。 ・内容は工事規模や予算により、案件ごとの調整を行いながら協議するものとする。 ・項目をクリアできない場合は、可能な限り代替案を提示する。代替案を提示できない場合はその理由を明らかにする。 ・本リストは2025年3月時点のものであり、今後の法改正等によって修正・変更の可能性があります。 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 1/建物全体/建物全体/建物内に段差がない。/((空欄))/((空欄)) 2/建物全体/建物全体/段差がある場合は、解消のための対策がなされている。/((空欄))/((空欄)) 3/建物全体/建物全体/段差解消のための対策は、障害のない人とほぼ同一経路である。/((空欄))/((空欄)) 4/建物全体/建物全体/段差解消のための対策は、他人の手を借りることなく移動が可能である。/((空欄))/((空欄)) 5/建物全体/建物全体/建物周囲に障害物がない(スタンド看板、低い車止め等がない)。/((空欄))/((空欄)) 6/建物全体/隣の建物との連続性/段差がない。/((空欄))/((空欄)) 7/建物全体/隣の建物との連続性/段差がある場合は、解消のための対策がなされている。/((空欄))/((空欄)) 8/建物全体/隣の建物との連続性/段差解消のための対策は、障害のない人とほぼ同一経路である。/((空欄))/((空欄)) 9/建物全体/隣の建物との連続性/段差解消のための対策は、他人の手を借りることなく移動が可能である。/((空欄))/((空欄)) 10/建物全体/隣の建物との連続性/誘導用ブロックが連続して敷設されている。/((空欄))/((空欄)) 11/建物への経路/外構/舗装面の表面はできるだけ平滑な仕上げである。/((空欄))/((空欄)) 12/建物への経路/歩道の縁石/色のコントラストが強く視認しやすい。/((空欄))/((空欄)) 13/建物への経路/車止め/最低限必要な箇所・数である。/((空欄))/((空欄)) 14/建物への経路/車止め/設けなければならない場合、存在がわかりやすい大きさであり、色のコントラストが強く視認しやすい。/((空欄))/((空欄)) 15/建物への経路/建物へのアクセス経路/車イス経路は、障害のない人とほぼ同一経路である。/((空欄))/((空欄)) 16/建物への経路/建物へのアクセス経路/他人の手を借りることなく、出入口を通過できる。/((空欄))/((空欄)) 17/建物への経路/建物へのアクセス経路/視覚障害者を、出入口への最短コースに誘導しており、スロープへ誘導していない。/最短コースが階段である場合は、階段へ誘導し、距離を最短にする。/((空欄)) -----p40 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 18/建物への経路/スロープ/スロープは正面出入口近くにある。/((空欄))/((空欄)) 19/建物への経路/スロープ/手すりの端部は飛び出さずに丸まっており、袖等が引っかかるデザインでない。/((空欄))/((空欄)) 20/建物への経路/誘導用ブロック/最寄り門から連続誘導している。/((空欄))/((空欄)) 21/建物への経路/誘導用ブロック/経路に障害物がない(スタンド看板、低い車止め等構造物の他、樹木の根や葉など邪魔なもの、将来邪魔になりそうなものを置かない)。/((空欄))/((空欄)) 22/建物への経路/誘導用ブロック/障害のない人とほぼ同一経路である。/((空欄))/((空欄)) 23/建物への経路/誘導用ブロック/スロープへ誘導していない。/((空欄))/((空欄)) 24/建物への経路/誘導用ブロック/受付や事務室カウンターまで誘導し、人的支援に繋げている。/((空欄))/((空欄)) 25/建物への経路/誘導用ブロック/見やすい帯状である(鋲タイプではない)。/((空欄))/((空欄)) 26/建物への経路/誘導用ブロック/色は原則黄色または東大仕様のアイボリーである。/((空欄))/((空欄)) 27/建物への経路/誘導用ブロック/路面との輝度比が2.0以上である。/((空欄))/((空欄)) 28/建物への経路/誘導用ブロック/滑りやすいステンレス製ではない。/学内で事故例あり。ステンレス製を採用するには説明責任を持つこと。/((空欄)) 29/建物への経路/誘導用ブロック/左右共に60センチメートル通行スペースがある。/・日本人成年男性平均肩幅45センチメートル+α(壁に肩をぶつけずに白杖を操作する余裕)を考慮し、60センチメートル以上離す。・白杖を常に右手で使う人もいれば、左手で使う人もいる。行きと帰りでは方向が真逆になるので、左右開ける必要がある。/((空欄)) 30/建物への経路/誘導用ブロック/エレベーターの呼び出しボタン前には点状ブロックを全フロアに設けている。/((空欄))/((空欄)) 31/建物への経路/排水溝蓋/蓋と路面に段差がない。/((空欄))/((空欄)) 32/建物への経路/排水溝蓋/蓋のスリットは、杖先や車イスの前輪が落ち込まないよう目が細かい構造(ピッチ1.5センチメートル以下、隙間:1センチメートル以下)である。/白杖の直径1.2センチメートル、車イス前輪幅2.2センチメートルが嵌らない細かい構造にする。/((空欄)) 33/建物への経路/排水溝蓋/濡れても滑り難い仕上げである。/((空欄))/((空欄)) 34/駐車場/車イス使用者用駐車施設/出入口に近い場所に車イス使用者用駐車施設を設けている。/((空欄))/((空欄)) 35/駐車場/車イス使用者用駐車施設/雨天時に濡れずに利用できるよう屋根付きである。/((空欄))/((空欄)) -----p41 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 36/建物出入口/建物出入口扉/メイン出入口は自動扉である。/((空欄))/((空欄)) 37/建物出入口/建物出入口扉/カードリーダーによる開閉の場合、非接触式リーダーで、扉からの移動距離が短い位置、車イスに座ったままで届く位置にある。/((空欄))/((空欄)) 38/建物出入口/建物出入口扉/自動扉でない場合、軽い力で操作可能な重さの扉である。/((空欄))/((空欄)) 39/建物出入口/建物出入口扉/自動扉でない場合、開き戸ではなく、引き戸である。/((空欄))/((空欄)) 40/建物出入口/建物出入口扉/自動扉でない場合、車イスで出入り可能な形状である。/((空欄))/((空欄)) 41/建物出入口/建物出入口扉/停電時パニックオープン(非常時解錠システム)の設定になっている。/((空欄))/((空欄)) 42/建物出入口/建物出入口扉/停電時パニッククローズ設定の場合、車イスから届く高さに解錠ボタンがある。/((空欄))/((空欄)) 43/建物出入口/扉、壁、柱/全面ガラス製ではない。/((空欄))/((空欄)) 44/建物出入口/扉、壁、柱/ガラス製の場合は、衝突防止の措置が目線の高さに、はっきりと分かり易い色とデザインがなされている。/高さ110から150センチメートル程度(アクセシビリティ・ガイドライン2020)。/((空欄)) 45/建物出入口/扉、壁、柱/柱は通路上に飛び出していない。構造上必要な柱は壁の中に入れるか、入り込まないよう仕切っている。/((空欄))/((空欄)) 46/建物出入口/扉、壁、柱/通路上の柱は角張らず、躓いて衝突してもケガがないよう安全配慮がなされている。/((空欄))/((空欄)) 47/屋内通路/屋内通路/廊下床面と壁の境がはっきりわかり易い色である。/((空欄))/((空欄)) 48/屋内通路/屋内通路/進行方向がわかり易い照明配置である。/((空欄))/((空欄)) 49/階段/階段/手すりが両側にある。/((空欄))/((空欄)) 50/階段/階段/手すりの端部は飛び出さずに丸まっており、袖等が引っかかるデザインでない。/((空欄))/((空欄)) 51/階段/階段/警告ブロックが最下段、最上段にある。/((空欄))/((空欄)) 52/階段/階段/段鼻が分かり易く、コントラストのあるデザインである。/((空欄))/((空欄)) 53/階段/階段/階段下の空間に入り込む危険がない。/((空欄))/((空欄)) 54/エレベーター/エレベーター/建物に最低1箇所は電動車イスやストレッチャーに対応できる15人乗り以上の大きさのかごがある。/((空欄))/((空欄)) 55/エレベーター/エレベーター/開口部は90センチメートル以上ある。/((空欄))/((空欄)) 56/エレベーター/エレベーター/エレベーターは正面入り口からアクセスしやすい位置にある。/((空欄))/((空欄)) -----p42 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 57/エレベーター/エレベーター/後方確認用鏡がある。/((空欄))/((空欄)) 58/エレベーター/エレベーター/車イス対応のボタン、手すり、ミラーを設置している。/((空欄))/((空欄)) 59/エレベーター/エレベーター/聴覚障害者対応仕様である。/窓付きドアあるいはテレビ電話(警備室と連携)、満員お知らせ灯、非常呼び出しボタン応答灯。/((空欄)) 60/エレベーター/エレベーター/視覚障害者対応仕様である。/ボタンに点字表示、オートアナウンス、床材質・色。/((空欄)) 61/トイレ/一般トイレ/機能分散の考え方である(一般トイレにも広めの便房やオストメイト用設備付き便房、乳幼児向け設備を備える)。/((空欄))/((空欄)) 62/トイレ/共用トイレ/設置階、設置位置に最大限配慮している。/「建物入り口に近かったからこのトイレを利用した」「自販機が並ぶロビーを利用した時にこのトイレを利用した」等、利用することが自然に見える条件を整える。/((空欄)) 63/トイレ/共用トイレ/出入りが見えにくいよう配慮している。/((空欄))/((空欄)) 64/トイレ/共用トイレ/表記に注意し、ジェンダーレストイレ、レインボートイレなどの用語はユーザーニーズに反するので使わないことが望ましい。/((空欄))/((空欄)) 65/トイレ/共用トイレ/全てのトイレに光警報フラッシュランプ(聴覚障害対応)を設置している。/((空欄))/((空欄)) 66/トイレ/共用トイレ/共用トイレと男女トイレを建物内にバランスよく設ける。/((空欄))/((空欄)) 67/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/原則として各階に1か所以上設ける。/((空欄))/((空欄)) 68/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/同一建物内では階ごとにアプローチの向きを変える。/((空欄))/((空欄)) 69/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/建物の1か所には介助用ベッドを設置する。/((空欄))/((空欄)) 70/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/移動距離は男女トイレと同様である(バリアフリートイレだけフロアの奥等離れた場所に設けない)。/ロビー等の共用部分のほか、学生ゼミ室、講習会が行われる室のフロアにも設ける。/((空欄)) 71/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/扉開口幅は90センチメートル以上ある。/((空欄))/((空欄)) 72/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/手の力が弱くても操作可能な重さの扉である。/((空欄))/((空欄)) 73/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/扉ストッパーがある(押し開けたときに、扉を開けたままにできる)。/扉を開けながら出入りするのに時間がかかるため。/((空欄)) 74/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/使用中であることの表示が見やすい大きさである。/((空欄))/((空欄)) 75/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/鍵の大きさと形状は約9センチメートル以上のレバー式である。/手指の動きが良くなくても拳で操作できる大きさであること。成人の握り拳幅が約9センチメートル。/((空欄)) -----p43 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 76/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/車イス回転スペースが150センチメートル以上ある。/((空欄))/((空欄)) 77/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/同一建物内に複数設置の場合、設備のレイアウトを左右対称にしており、便器へのアクセスを左右どちらでも選択できる。/((空欄))/((空欄)) 78/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/紙巻き器等の配置はJIS規格である。/JIS S0026。/((空欄)) 79/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/緊急時呼び出しボタンは,床に倒れても届く位置にある。/((空欄))/((空欄)) 80/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/緊急時呼び出しボタンは紐付きである。/((空欄))/((空欄)) 81/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/介助用ベッドを設置している。/((空欄))/((空欄)) 82/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/介助用ベッドから届く位置にも緊急時呼び出しボタンがある。/((空欄))/((空欄)) 83/トイレ/バリアフリートイレ(車イス対応トイレ)/荷物置き棚を設けている。/利用者の要望に合わせて、位置や高さを変更できることが望ましい。/((空欄)) 84/トイレ/バリアフリー推進オフィスがある建物のバリアフリートイレ/バリアフリー推進オフィスのある1階には少なくとも2カ所の介助用ベッド付き車イス対応トイレを設置し、それぞれ右勝手、左勝手とする。それ以外の階には、右勝手・左勝手のトイレをバランスよく設置する。/((空欄))/((空欄)) 85/トイレ/バリアフリー推進オフィスがある建物のバリアフリートイレ/バリアフリー推進オフィスと同じ階の他、会議室の階にも設置する。/((空欄))/((空欄)) 86/トイレ/バリアフリー推進オフィスがある建物のバリアフリートイレ/聴覚障害者対応として光警報フラッシュランプを設置する。/((空欄))/((空欄)) 87/事務室/事務室受付/出入口扉は自動扉である。/((空欄))/((空欄)) 88/事務室/事務室受付/自動扉でない場合、軽い力で操作可能な重さの扉である。/((空欄))/((空欄)) 89/事務室/事務室受付/自動扉でない場合、開き戸ではなく、引き戸である。/((空欄))/((空欄)) 90/事務室/事務室受付/自動扉でない場合、車イスで出入り可能な形状である。/((空欄))/((空欄)) 91/事務室/事務室受付/受付カウンターは、車イスで書類に記入することが可能な高さである。/高さ70から80センチメートル程度(アクセシビリティ・ガイドライン2020)。/((空欄)) 92/事務室/事務室受付/受付カウンターは、車イス用の膝下クリアランスを設けている。/膝下クリアランス高さ65から75センチメートル程度、幅75センチメートル程度、奥行き50センチメートル程度(アクセシビリティ・ガイドライン2020)。/((空欄)) 93/共用会議室/共用会議室/オンライン会議用設備(モニター、カメラ、音響機器)を設置している。/障害により移動が困難な人との打ち合わせにオンライン会議を利用することが多いため、会議に必要な機器を使える環境が必要。/((空欄)) -----p44 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 94/共用会議室/共用会議室/電源・配線に配慮し、車イス使用者や視覚障害者等の動線上に配線等が露出することが無いようにしている。/((空欄))/((空欄)) 95/講義室/講義室内の演台/電動車イスやストレッチャーでも演台上にアクセス出来る。/講師や発表者が車イス使用者でも登壇できる。/((空欄)) 96/講義室/講義室内の演台/講演や講義中、電動車イスやストレッチャーで動く事が可能であり、プロジェクター等を操作することができる。/((空欄))/((空欄)) 97/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/車イス、ストレッチャー利用者がアクセスしやすく、避難経路を複数確保できる階に設置している。/1階に設置すると避難しやすい。/((空欄)) 98/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/出入りを他人に見られない経路も用意している。/見えない障害のある構成員が相談しやすいよう出入口を複数設ける。/((空欄)) 99/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/入り口は全て自動扉である(ラウンジと推進オフィスとの間の扉も)。/車イス使用者、視覚障害者の入退室がスムーズになるよう自動扉が望ましい。/((空欄)) 100/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/窓口対応と相談スペースを区分けしている。/相談内容が他者に聞かれないよう十分な配慮を行う。/((空欄)) 101/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/相談スペース、ミーティングスペースはブラインドやロールカーテン等でクローズオープン操作できる。/相談利用を知られたくない構成員来室時の対応。/((空欄)) 102/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/ラウンジとの間の仕切りも、ブラインドやロールカーテン等でクローズオープン操作できる。/相談利用を知られたくない構成員来室時の対応。夜間残業時の防犯対策。/((空欄)) 103/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/非常時に外部に知らせる警報装置を室内数か所に設置している。/相談者とのトラブル対応のための警報装置。/((空欄)) 104/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/電源を多めに設置している。/支援機器を多く利用する。車イス利用者が多いことから、壁面のみではなく、テーブルや床面にも設ける。/((空欄)) 105/バリアフリー推進オフィス/バリアフリー推進オフィス/聴覚障害者対応として光警報フラッシュランプを設置する。/((空欄))/((空欄)) 106/避難対応/避難設備/一時避難スペースを設けている。/階段、バルコニー等。/((空欄)) 107/避難対応/避難設備/避難機器を置けるスペースがある。/階段避難機器等設置。/((空欄)) 108/避難対応/情報伝達/火災警報装置として、聴覚障害者対応として光警報装置を設けている。/((空欄))/((空欄)) -----p45 No./((空欄))/大項目/小項目/備考/チェック 109/案内表示/サイン、ピクトグラム/文字フォントはユニバーサルデザイン仕様、大きさは視認距離に応じた視覚障害者が見てわかりやすいデザインである。/((空欄))/((空欄)) 110/案内表示/サイン、ピクトグラム/サインの色はコントラストが強く、弱視者や色覚特性のある人が見やすい色の組み合わせである。/JIS Z9103、東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン。/((空欄)) 111/案内表示/サイン、ピクトグラム/視覚障害者対応案内板を設けている場合は、出入口から誘導している。/((空欄))/((空欄)) 112/案内表示/サイン、ピクトグラム/トイレのサインは廊下へ突き出し表示して、遠くからでも見つけやすくする。/進行方向に平行であると遠くから見つけることができない。/((空欄)) 113/案内表示/サイン、ピクトグラム/ピクトグラムはISOあるいはJIS規格である。/ISO 7001、JIS Z8210(案内用図記号)。/((空欄)) 114/案内表示/サイン、ピクトグラム/建物のフロアマップを、エントランス周辺、エレベーター周辺などにわかりやすく設置している。/((空欄))/((空欄)) 115/案内表示/サイン、ピクトグラム/知的障害のある人にもわかり易いサインである。/((空欄))/((空欄)) 116/通信環境/Wi-Fi環境/障害のために情報保障を必要とする構成員がいるため、機器使用のためにWi-Fi環境を整備する。/((空欄))/((空欄)) 117/通信環境/Wi-Fi環境/会議室(建物共有)使用時にも情報保障が必要なためWi-Fi環境を整備する。/相談に来る構成員の中に聴覚障害のある人、音声情報を脳内で処理できない障害のある人もおり、アプリと機器の使用のためのWi-Fi環境を整える必要がある。/((空欄)) 118/その他/カームダウン、クールダウンスペース(室)/多様な要望に対応できるよう基本的でシンプルなスペースを設置する。/鍵付き個室については、個別の合理的配慮提供として所属部局が行う例もある。/((空欄)) 119/その他/カームダウン、クールダウンスペース(室)/複数設置する。/カームダウンに必要な時間がそれぞれ異なるため複数必要。/((空欄)) 120/その他/カームダウン、クールダウンスペース(室)/空調を良くする。/臭いへの反応を軽減する。/((空欄)) 121/その他/カームダウン、クールダウンスペース(室)/音環境に配慮が必要な場合もあるので、騒音の少ない場所に設置する。/聴覚過敏に対応。防音機能がありつつ緊急警報が聞こえる環境。/((空欄)) 122/その他/カームダウン、クールダウンスペース(室)/照明は明るすぎないよう、落ち着けるように少し暗めの間接照明とする。/照明(調光や色調)をコントロールできることが望ましい。/((空欄)) -----pe つながるバリアフリーのために 発行 2025年3月1日 編集 東京大学バリアフリー推進オフィス https://ds.adm.u-tokyo.ac.jp -----end