視覚障害のある学生への対応
1.授業への対応
(1) 教科書・資料について
【弱視の学生の場合】
●資料の文字拡大
文字の大きさやフォント(字体)を調整した資料をご用意いただけないか、ご検討ください。ご用意くださる場合、見やすい大きさやフォント、文字の濃さは一人ひとり異なりますので、学生本人にお尋ねください。事前に学生から具体的な要望があれば、各部局の支援実施担当者からお伝えします。
●資料の電子データの提供
資料の電子データ(PDF、Wordなど)を学生にご提供いただけると、学生がパソコン上で自分の読みやすい大きさに文字を拡大したり、コントラストを調整したりして読むことができます。
【全盲の学生の場合】
●資料の電子データの提供
資料データ(Word、テキストファイルなど)を学生にご提供いただけると、パソコンの音声読み上げソフト等を使って、内容を確認することができます。また、そのデータをもとに点字データに変換する際もスムーズに作業ができます。
●資料の電子データ化を依頼
紙媒体の資料しかない場合は、テキストデータ化のサービスを行っておりますので、各部局の支援実施担当者へご相談ください。
●教科書・資料の点訳
教科書・資料の点訳が必要な場合は、バリアフリー推進オフィスにご依頼ください。書籍の点訳を行う際は、点訳作業に要する時間のほか、出版社に原稿データ提供を依頼する時間も必要になる場合がありますので、早めにご相談ください。授業のスケジュールと、各回で使用する部分がわかると、点訳の優先順位をつけることができます。
(2) 板書について
【弱視の学生の場合】
●板書は大きめの字で
黒板やホワイトボードなどの地色とのコントラストがはっきりした色で、できるだけ大きめの板書をお願いします。
●黒板が見やすい座席の確保
教室の照明の度合いや光の差し込む角度、学生の見え方等によって、黒板が見やすい位置は一人ひとり異なりますので、座席を指定する場合は、直接本人にお尋ねください。支援実施担当者とバリアフリー推進オフィスが学生と相談のうえ、教室内に優先席を設置することもあります。
●補助具の持ち込み使用
学生が単眼鏡やルーペ、携帯型拡大読書器などの視覚補助具を使用している場合がありますので、ご承知おきください。
【全盲の学生の場合】
●板書の読み上げ
板書した内容は読み上げていただき、図についても補足説明をしてくださると、学生の理解の助けとなります。ただし、説明時に指示語が多用されると、視覚障害のある学生は具体的に何を指しているのか理解することができませんので、なるべく具体的な言葉に置き換えてご説明いただくようご留意ください。必要に応じて、授業中の板書、スライド、字幕などの視覚的情報を記録する代筆者が隣に座る場合もあります。
(3) スライド、映像教材について
【共通】
●スライドのデータ提供ほか
スライドは、できるだけデータを学生にご提供いただくか、データの提供が難しい場合は、学生が見やすいサイズで印刷したものをお渡しください。
●映像教材の貸し出し
映像教材をご使用になるときは、学生が繰り返し聞いて内容を確認できるように、教材を学生に貸し出すことをご検討ください。
(4) 授業中の提出物について
【弱視の学生の場合】
●書きやすい用紙を準備
弱視の学生で手書きでの筆記が可能な場合は、本人に確認したうえで、罫線を濃くする、幅を広くするなどの工夫を加えた書きやすい用紙をご準備ください。
●筆記時間に余裕を
筆記が可能な場合でも、時間がかかり、出席カードやレポートなどを授業時間中に提出することが難しい場合があります。筆記時間に余裕を持たせる、授業後の提出を認めるなどの対応をご検討ください。
●代替の提出方法
手書きでの筆記が困難な場合、学生が口述した内容をICレコーダーに録音または代筆者が代筆したものを提出させる、本人がパソコンで作成したものを授業後に提出させるなど、代替の提出方法をご検討ください。
(5) ゼミ、グループワークについて
●発表や発言時の留意事項を受講生に周知
他の受講生が発表する際に留意してほしい事項(発言する前に名前を名乗ること、なるべく具体的な言葉で説明すること、映像を用いる場合は補足説明をすることなど)について学生と事前に打合せ、その事項を受講生に伝えることをご検討ください。
●メーリングリストの活用
視覚障害のある学生が他の受講生の発表資料をデータで入手できるようにご配慮ください。メーリングリストを活用することも有効です。
(6) その他
●教室内の状況説明
視覚障害のある学生は、周囲の状況が把握できず戸惑う場合があります。急な教室変更があるときや、机の配置が普段と異なっているとき、グループワークで学生が移動するときなど、普段と授業の様子が変わるときには、口頭で周囲の様子を伝えてください。
●指名するときは名前を
視覚障害のある学生は、自分が指名されたことに気づかない場合があります。指名する際には名前を呼び、本人が指名されたことを把握できるようにご配慮ください。少人数の授業などでは、他の受講生を当てる際もできるだけ名前を呼ぶようにすることで、次第に声質や話方などで話し手が誰か判断できるようになる人もいます。
2.試験への対応
試験時には、視覚障害のある学生の状況に応じて、以下のような対応をご検討ください。試験実施前に、本人と部局の支援実施担当者、バリアフリー推進オフィスで面談のうえ、先生に具体的にご相談させていただきます。
●補助具等の持ち込み許可
拡大読書器などの補助具、書きやすい筆記具などの持ち込みを認めてください。
●出題方法の変更
例)試験問題の点訳/パソコンの音声読み上げソフト利用による試験問題の音声出題または試験問題の音読/学生が見やすいサイズに拡大コピーした問題用紙の配布
●解答方法の変更
例)点字による解答/パソコンによる解答/学生の口述による解答( 口述内容をICレコーダーに録音もしくは代筆者が解答用紙に記入 )/学生本人の状況に合わせて準備した解答用紙(罫線の濃いもの、罫線の幅の広いもの、枚数を増やしたものなど)の使用
●試験方法の変更
例)口頭試問への振り替える/レポートへの振り替え
●試験日程や時間の調整
例)別室受験による試験時間の延長(同日に複数の試験がある場合は、支援実施担当者と相談し、日程を調整)