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聴覚障害のある学生への対応

1.授業への対応

(1) 資料について

●レジュメの配付
授業の流れや内容、キーワードなどをまとめたレジュメをご用意いただけると、聴覚障害のある学生の情報保障の一環となるだけでなく、パソコンテイクなどの通訳もより円滑に行うことができるようになります。レジュメの印刷にあたってお手伝いが必要な場合は、各部局の支援実施担当者までご連絡ください。

(2) 板書・スライド投影について

●重要事項の板書・スライド投影
板書やスライドに、キーワードや専門用語、固有名詞や数字などの重要事項を示すことで、聴覚障害のある学生へ正確に伝えることができます。特に重要な事項(休講連絡、試験日時・内容、評価方法など)についても同様です。

(3) 映像教材・音声教材の文字資料準備

●資料の準備/字幕挿入や文字起こしの依頼
音声教材や映像教材は、情報量が多く、パソコンテイカ-などの通訳者がいてもその場で十分に内容を伝えることは困難です。授業で音声教材や字幕のない映像教材をご使用になる場合は、内容をまとめた資料をご準備ください。文字起こしや字幕挿入の支援も可能ですので、支援実施担当者へ早めにご依頼ください。

(4) マイクについて

●マイクの使用
学生の聞こえ方や教室の広さによっては、マイクを使用したほうが聞き取りやすい場合があります。学生に確認のうえ、教室備え付けのマイクがあればご使用ください。また、学生が補聴援助システム(先生が持つ送信機に入力された音声が、離れた場所にいる聴覚障害のある学生の持つ受信機に届くシステム)を使用している場合は、専用のマイクを介して音声を聞き取るので、会場のマイクとは別に、学生が持参するマイクもご使用ください。

(5) 通訳者への配慮について
聴覚障害のある学生が受講する授業に、ノートテイカー、パソコンテイカーなどの文字通訳者や、手話通訳者などを派遣することがあります。通訳者がいる場合には、以下のような点にご留意ください。

●資料の事前提供
講義で使用する資料やレジュメなどを、できるだけ事前にご提供ください。支援を行う通訳者があらかじめ資料を読むことができれば、より円滑な通訳が可能になります。資料の受け渡し方法や、取扱については支援実施担当者にお問い合わせください。(学期開始時に、資料の受け渡し方法が決定されているとスムーズです。)

●スライド資料を通訳者に渡す
授業中に使用するスライドは、できるだけ印刷したものを通訳者にお渡しください。特に図表やグラフの説明などでは、直接書き込める資料が手元にあることで、通訳がしやすくなります。

●資料の読み上げ箇所の明示
通訳者は通訳に集中しているため、資料やテキストの読み上げが始まったことに気づくのが遅れることがあります。資料を読む場合は「資料の○ページを読みます」というふうに、あらかじめ該当箇所を明示してから読み上げていただくと、通訳がしやすくなります。

●指示語の多用は避ける
通訳者は、板書や資料、グラフの説明時に指示語を具体的な表現に置き換えて通訳する場合があります。指示語は、なるべく具体的に説明していただけると、正確な情報保障の助けになります。

●通訳者の座席の確保
通訳者は、聴覚障害のある学生に対し、基本的に以下のような位置で通訳を行います。教室内の人数が多い場合などは、通訳者の座席が確保できるようご協力ください。 なお、以下の配置イメージはあくまでも典型例で、教室の状況(窓の位置やスライドの位置)、聴覚障害のある学生の希望によって異なる配置になる場合もあります。

【ノートテイク】 【パソコンテイク】
ノートテイク画像 パソコンテイク画像
【手話通訳(講義形式)】 【手話通訳(ゼミ形式)】
手話通訳(講義形式) 手話通訳(ゼミ形式)


(6) ゼミ、グループワークについて

●同時発話は避け、発言者を視覚的に明示
複数の受講生が同時に発言すると、聴覚障害のある学生は、議論の内容を把握することが非常に困難になります。通訳者も同時発話には対応できません。ディスカッションでは進行役を立て、受講生が同時に発言することのないように交通整理をしたり、発言者が手を挙げてから発言するようにしたりして、発言者が誰かを視覚的に明示するようにお願いします。また、聴覚障害のある学生にこれまでの話が伝わっているかを確認しながら議論を進めるようにご配慮ください。他にも、教室の広さや条件、学生の聞こえ方、通訳者の配置の有無などによって、さまざまな対応が必要になります。聴覚障害のある学生と相談しながら、対応をご検討ください。

(7) その他

●出欠確認や指名の方法の工夫
出欠の確認で名前を呼ばれたときや、質問で指名されたときに気づかないことがあります。名前を呼ぶときに目線を合わせる、最初に名前を呼ぶなど、聴覚障害のある学生と出席方法の確認をしておくのも有効です。

●他の受講生の発言時の工夫
受講生が発言や質問をするとき、声がはっきり聞こえるよう、マイクを持たせたり、先生に進行役として内容を整理したりしていただけると理解しやすくなります。


2.試験への対応
試験時には、聴覚障害のある学生の状況に応じて、以下のような対応をご検討ください。試験実施前に、本人と支援実施担当者、バリアフリー推進オフィスで面談のうえ、先生に具体的な依頼をさせていただきます。

●試験中の音声情報伝達手段の検討
試験中の注意事項や問題の訂正などの音声情報は、板書やプリントなど、視覚的に確認できる方法で確実にお伝えください。

●リスニングや口頭試問に代わる試験方法・通訳者の同席
聞こえ方や、どれくらい正確に発音できるかは個人によって異なります。以下に、リスニングや口頭試問の際の対応例を記載しました。ご不明な点などありましたら、支援実施担当者または当オフィスにお問合せください。
例)リスニングや口頭試問を、レポートや、筆記問題などの代替問題へ振り替える/口頭試問を一対一での対面方式に切り替える、もしくは通訳者の同席を許可する/雑音が入りにくい、別室での個別受験を許可する/補聴器や補聴援助システムなどの機器の使用を許可する
※補聴器や補聴援助システムを使用しても、健聴者と同じように聞こえるわけではありませんのでご留意ください。詳しくは、「聴覚障害について、知っておいていただきたいこと 」をご参照ください。

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